お金の問題を考える ハイパーインフレはなぜ起る?



現在(07/08時点)ジンバブエ(アフリカ)の経済は
破綻状態にあります。
破綻しているとはつまり景気が極限状態に悪いのです。
にも関わらず、物価が上昇している
“ハイパーインフレ”の状態になっています。

景気が悪いのにインフレはなぜ起るのでしょう?

通常、教科書ではインフレとは
「景気が良いと人々が物を欲しがる。
すると需要と供給の関係で物価が上がる」と
説明されています。

企業の存在意義とは利益の追求にあります。
ですから景気が良く商品が良く売れれば
「もう少し値上げしても売れるのではないか?」
という動機によって値段が上がります。

そして景気が良いので、その商品が
少しぐらい値が上がっても“欲しい”という
人が圧倒的多数なので売れる。
「売れているからもう少し上げて見よう」
と値段が上がり、値上げの循環が起ります。

これが通常のインフレで正常な経済成長の状態です。
そうです。ご想像の通り、経済成長とは
“緩やかなインフレ”状態のことなのです。

ところがハイパーインフレは
景気が非常に悪い国で起こります。
なぜでしょう?

これは貨幣価値の崩壊にその原因があるからです。

お金というものは実は価値は全くありません。
印刷しただけのただの紙切れです。
それにも関わらず“通貨”としての使命を
きちんと果たしているのはどうしてか?

それは人々の思い込みに他ならないのです。
「1万円札には1万円の商品を買うだけの実力がある」
と人々が信じているから
通貨として使えるというだけの事なのです。

その昔は通貨(紙幣)は「兌換券」と呼ばれ、
その紙幣と引き換えに同額の金(きん)との引き換えが
保障されていました。

この通貨(紙幣)は実際の価値が額面と一致している
本当の通貨です。これが金本位制であり
現在はどこの政府も金本位制はとっていません。

金本位制を各国がやめた理由は、世界の経済規模が
地球上の全ての金を合わせても“全く足りない”
からです。

ちなみに全世界の経済規模は年間3,534兆円ほど
(2003年の世界国民総所得31兆$×114円で算出)
であり、全世界の金総量は15万トン金額にして
420,000,000,000,000円(420兆円)しかありません。
(1g2,800円として)

そのような状況で人々が“価値がある”と信じていた
貨幣の価値が信用されなくなると、
「お金をいくら積んでも物が買えなくなる」という状況になり
ハイパーインフレになります。

現在、経済活動は国内だけで完結することは不可能です。
自国で調達できないものは
海外から購入する必要があります。

海外から購入するのは、外国の人に
「その貨幣で額面通りの物が買える」と
信用してもらわなければいけないのです。

話が戻って人々が価値があると信じるとは
どういうことかといえば、
その国の国家に入って来る税金が、
“人々の経済活動の結果として課税されて得た税金である。”
ということです。

その貨幣には実績がある。実績があるから価値があるのだ。
という前提で成り立っています。
だからこそその国家が発行した紙幣は価値があると
世界が認めてくれるのです。

それが景気が極端に悪い国では、
お金は印刷したただの紙に戻ってしまいます。

なぜそうなってしまうのかは、
景気が極端に悪い国特有の行動にあり、
税収がないとお金を使えない。
お金を使えないと景気が良くならない。
という発想に基づき
“お金をいくらでも印刷してしまう”ことにあります。

国内だけで完結している経済であれば、
お金がいくらでもあるイコール好景気にもなりますが、
前述通り国内完結型経済は今やどこにもありません。
物は外国から買わなければいけません。

外国から物を購入するには
その貨幣が額面どおりの価値があると
外国の人に信用してもらわなければならないのです。

それが価値の裏づけなしにどんどん印刷された紙だったら、
誰も受け取ってくれません。
ここでまた問題なのですが、誰も受け取らないのであれば、
そのお金で物が買えないのですからお金は流通しません。
流通しなければハイパーインフレにはなりません。

ところがここで
「今までの10倍のお金を払えば受け取ってもらえるでしょうか?」
という人が出れば、そのお金を受け取る人が必ずいます。

そうすると10倍レートが通常となってしまい、
またまた
「今までの10倍のお金を払えば受け取ってもらえるでしょうか?」
ということになってしまいます。

こうなると国内の物価も当然どんどん上がります。
だって今までの10倍の値段で仕入れた商品ですから、
損をして売ることはできません。

当然仕入れに見合った金額で販売します。
高くなったら売れなくなるのが通常の教科書の
説明ですが、実際はそうはなりません。

なぜなら、もうその時点では今までどおりの金額では
外国から商品を購入できないので、
国内では圧倒的に物が不足しています。

物がなければ「幾ら払ってでもそれが欲しい」
という人がたくさん出ます。
たくさんの人が欲しがるのだから、いくらでも高くなります。

これの繰り返しがハイパーインフレの正体です。

さて、このような状態になったら
もうどうすることもできません。
ただひたすら時が過ぎるのを待つしかありません。

デノミなどを行う国家もありますが、
実はあまり関係ありません。
時がいつしか解決してくれるのです。

日本がこのような事にならないように
ひたすら祈る管理人でありました。

(管理人の勘では、いつしかドルが紙くずになる日が来る
と感じていますし、理由もちゃんとあります。)

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